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超音波検査は、超音波を対象物に当ててその反響を映像化する画像診断法です。基本的には、超音波は液体・固体がよく伝わり、気体は伝わりにくく、そのため実質臓器の描出には優れていますが、肺などの描出には優れておらず、骨は表面での反射が強く描出はできません。表在に位置する甲状腺は、ガスや骨の影響が少ないため超音波による描出に優れた臓器であり、甲状腺超音波検査は、甲状腺の画像診断において最も有効な検査法です。
超音波検査の長所としては、分解能の良さ、リアルタイム、血流の可視化、非被曝、廉価などが挙げられますが、甲状腺はまさにこれらの有用性が十二分に引き出される部位です。検査時間は約15分程度です。被検者に仰臥位で横になっていただき、頚部にゼリーを塗り探触子をあてて観察します。探触子はフェザータッチで操作を行うため痛みを伴うことはありません。まず、甲状腺の形態を把握、大きさの客観的評価、超音波ドプラ法などによる血流状態の評価を行います。甲状腺超音波検査は、MRIやCTに比べ、甲状腺内部の状況をより詳細に観察することが可能です。これらにより、バセドウ病や橋本病などのびまん性疾患の有無を推測することができます。次に、結節の有無を観察します。超音波検査は分解能が良く、触診では指摘し得ない結節を発見することができます。結節が発見された場合は、その大きさ、形状、超音波画像のパターン血流状態を観察し、良悪の鑑別を行います。
組織弾性イメージング(エラストグラフィ)を用いて、結節の硬さや、結節内の硬さの分布を画像化することもできます。エラストグラフィは、その技術開発がここ10年間で急速に発展し、現在もその研究がさらに進められている最新技術です。硬さの情報は、結節の良悪を評価する上で非常に有用な情報の一つと成り得ます。また、超音波検査はリアルタイムに画像を表示できるため、穿刺のガイドとしても最適です。
甲状腺超音波検査は、簡便でかつ客観的評価が可能であり、甲状腺結節性病変の有無、部位診断のみならず、質的診断に欠くことのできない検査です。甲状腺疾患のスクリーニングだけでなく、疾患の経過観察にも非常に有効です。検査をうけていただくにあたって、前処置などの必要はありません。非被曝非侵襲で被検者への負担が非常に少なく、同時に広く頚部の観察が可能であるため、情報量が多く有用性の非常に高い検査です。
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